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動的分析その2〜「その他作品の体験・評価」と「劇場版評価」とのクロス集計 |
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今回は第2回アンケートの最大のキモとなる、「事前の他作品の体験・評価と、劇場版への評価の関係」を見ていきましょう。やり方としては、その1と同様にクロス集計を行い、それらを横に並べて比較してみたり、一つの要素ごとに細かく入っていったりしながら、方向性を探って行きたいと思います。かなり長丁場になりますが、どうぞ最後までよろしくお願いいたします。 |
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さて、まずは事前の体験と評価の関係をまとめてみます。内容はQ1(1)〜(3)の各体験に関わる設問、そしてQ3(9)の結果について、それぞれQ3(4)の結果と相関をとっております。以下はそれらを抜粋し、横に並べたものです。詳細は動的分析〜資料編2より、1-1.ゲーム版体験と評価との関係、1-2.BS-i版体験と評価との関係、1-3.二次創作体験と評価との関係、1-4.出崎監督作品体験と評価との関係をそれぞれご覧下さい。 なお、以下の表を作成するに当たっては、主に「劇場版鑑賞前に体験しているか否か」という観点で切り分けを行なっていますが、Q1(3)、すなわち二次創作に係る部分についてはそうしたきり分けが難しいため、「見かければほぼ必ず読む」「面白そうなものを選んでよく読む」の2つの回答を積極派ということで「経験あり」とし、それ以外を「その他」として切り分けてあります。 |
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【体験の有無で切り分けても…】 |
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この結果から読み取れることはいくつもありますが、まず最初に触れておきたいことは標準偏差の値がどのパターンにおいても全体並か、場合によっては大きくなっている点です。「標準偏差が大きい」ということは、すなわち要素が分散したデータ群であることを示しています。つまり、「体験の有無で切り分けても、『評価が賛否両論である』という劇場版AIRの特性は、大きくは変わっていない」ことを示していると言えます。 「劇場版AIRを高く評価するのはこういう人」「逆に低く評価するのはこういう人」という風に分析を進めるためには、各パターンに属するデータ群が分散するのは好ましくありません。例えば上記では、「ゲーム版の事前体験がない人の方が劇場版を高く評価している」ように見えますが、その中身に「悪く評価する人」もかなりの数が含まれてしまっては説得力に欠けます。切り分けを行なって相応の結果が出たと言うためには、標準偏差が全体に比べてせめて幾ばくかでも低い値にならないと具合が悪いのです。 このように、他作品の体験の有無だけで劇場版AIRの評価の高低を論じきることには無理があります。そこに見えるのは、あくまでなだらかな「傾向」だけ。そのことを念頭において、以下に傾向を見ていくことにします。 |
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【「出崎作品体験有り」だけでは必ずしも「高評価」にはならない】 |
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「ゲーム版(とそれに近いBS-i版)を知らない人は、劇場版に肯定的」「出崎作品を知っている人は、劇場版に肯定的」とよく言われます。確かに上記結果(黄色の棒グラフ部分)は、そうした風評をある程度は裏付けるものとなっております。 しかし、特に出崎作品についてよく見ると、体験があるからといって必ずしも高評価とは言えない状況が浮かび上がってきます。この点は、動的分析その1のラストで少し触れた部分ですね。出崎作品に慣れ親しんでいる人であれば、同じく出崎監督の特徴を色濃く出した劇場版AIRに対して概ね高い評価が出てもいいはずですが、経験がない人よりも少々高めに出ているだけで、平均値そのものはまだマイナスなのです。 |
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【「二次作品体験の有無」はほとんど評価の高低に影響しない】 |
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「巨匠の作った同人的作品」と称されることも多い劇場版AIRについて、「普段から同人誌などの二次創作物に親しんでいる人ならば、面白く見られるのではないだろうか」という意見がよく聞かれます。しかし、結果は上記の通りで、二次創作を積極的に見ているかどうかで、評価はほとんど変化しておりません。二次創作体験は、劇場版AIRの評価に「ほとんど影響していない」と見るのが妥当なようです。 |
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【「ゲーム版」と「BS-i版」、劇場版の評価により影響するのはどちら?】 |
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「ゲーム版」は「原典」であり、全てのAIRの出発点です。従って、その「ゲーム版」に対するあり方の違いによって、劇場版の評価が変動すると考えるのは自然な発想だと思います。片や、「BS-i版」は原典から派生したものであり、ある意味劇場版と対等な「子作品」です。如何に原典に近いとは言え、原典へのあり方以上に劇場版の評価を左右することはあるまい…私はそのように考えてまいりました。 しかし、上記結果はそのような思い込みに「待った」をかけるものです。確かに、「ゲーム体験のない人」の方が「BS-i版体験のない人」よりも劇場版を高く評価する傾向は見られます。しかし同時に、「ゲーム版体験のある人」よりも「BS-i版体験のある人」の方が劇場版を低く評価する傾向も同時に見られるのです。そして、ゲーム版・BS-i版共通して「体験のない人」の標準偏差は低く、「体験がない」イコール「評価が高い」と断定しにくい状況にもあります。これはもう少し別の角度で考えてみる必要がありそうです。 |
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続いて、他作品への評価と劇場版への評価の関係をまとめてみます。内容は先程と同様に、Q1(1)〜(3)の評価に関わる設問、そしてQ3(9)の結果について、それぞれQ3(4)の結果と相関をとり、抜粋して横に並べてあります。詳細は動的分析〜資料編2より、2-1.ゲーム版評価と劇場版評価との関係、2-2.BS-i版評価と劇場版評価との関係、2-3.二次創作評価と劇場版評価との関係、2-4.出崎監督作品評価と劇場版評価との関係をそれぞれご覧下さい。 なお、他の質問とは選択肢が異なる「出崎監督作品の評価」については、「今も名作だと思う」のみを高評価としました。 |
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【BS-i版評価・出崎作品評価の二項目で、体験有無での比較よりも鮮明な結果が表出】 |
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この結果を見た瞬間、私は「勝った(ぶい)」と思いました。少なくとも、何らかの成果は残せる確信が得られたのです。 特に、BS-i版の評価との関係を見たときには震えが来ましたね。よく言われることとして「原作信者は劇場版否定派、そうでない人は肯定派」という俗説がありますが、それよりはむしろ、「BS-i版信者は劇場版否定派、そうでない人は肯定派」と言った方がまだしもしっくり来る、そういう結果が出ているのです。 一方で、ばらつきの点ではまだ問題がありますが、出崎監督作品の評価との関係についても、明確なリンクが存在しそうです。まだ断言は出来ませんが、「BS-i版の評価」と「出崎作品の評価」の二軸だけでも、かなりの成果が出せそうです。 |
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【体験有無と同様に「二次作品の評価」もまた、ほとんど劇場版評価の高低に影響しない】 |
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この結果をどう読み取るかは読み手に委ねられるところではありますが、私はこう考えます。結局、二次創作という大ざっぱなくくりでは個別の作品の良し悪しを全てくくることはできません。二次創作に日頃から親しんでいる人や、二次創作を概ね高く評価している人であっても、個別の作品への評価は「それぞれ個別に下している」ということなのではないでしょうか。言い方を変えれば、「今まで見てきた二次創作が概ね良かったとしてもそれはたまたまであり、劇場版は劇場版」ということです。 他にも色々な考え方があると思います。上記はあくまで一つの例ということでお読み下さい。間違いなく言えるのは、「二次創作に係る体験の有無や評価の高低によって、劇場版への評価を推し量ることは出来ない」ということですね。 |
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【「ゲーム版評価」の影響が、「ゲーム版体験」の影響と大差ない点について】 |
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これは、実は冷静に考えてみれば当然のことです。プレイした人のほとんどが高評価であるゲーム版において、「高評価でない人」というのはほとんどが「未プレイの人」なのですから。 「じゃあ、未プレイを除けばちゃんと結果が出るのでは?」というご意見もおありでしょうが、今回のアンケートでゲーム版を「普通」「悪かった」「最悪!」に評価した人は、合計で6人しかいません。これでは、統計的な結果を導くのは到底ムリなのです。 原作たるゲーム版の評価の良し悪しが、劇場版の評価に影響するか否かについては、今回は恐らく結論が出せません。それを検討するためには、「ゲーム版を普通以下に評価した人のデータ」がもっと必要なのです。 |
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全く差が認められなかった二次創作を除き、3つの要素を組み合わせることでどのように劇場版への評価が変わるか、動的分析その1と同様に多要素クロス集計を行って見ましょう。詳細は動的分析〜資料編2の3-1.軸の検証〜4要素クロス集計へどうぞ。 |
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この中で、色つきのセル2グループを見比べてみてください。これらは、「ゲーム版への評価」が異なるだけで、BS-i版と出崎作品については同じ評価の人たちです。黄色いグループの方はデータの個数自体が非常に少なく、誤差が出る可能性が非常に高いデータです。また、全体的な数値の示す傾向が、似たような雰囲気になっていることも見逃せません。 つまり、「BS-i版と出崎作品への評価を軸にして分析を行なったとき、ゲーム版への評価の良し悪しは結果にほぼ影響しない」のではないでしょうか。この仮説を、統計学上の手法としてよく利用される「χ(カイ)二乗検定」を行なって検証しました。詳細は省きますが、χ二乗値は14.872となり、自由度28、有意水準5%の限界値である41.337よりも十分に小さい値を示しております。従って、上記の仮説は正しいことが検証できました。 ちなみに、BS-i版の評価と出崎作品の評価に対してもχ二乗検定を行うと、χ二乗値は限界値よりも十分に大きな値となり、やはり影響があるという結論に達します。統計学に興味のある方はGoogleで検索したりして調べてみると面白いですよ。 |
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それでは改めて、BS-i版評価と出崎作品評価、そして劇場版評価の3要素によるクロス集計を行ってみます。順序も、評点の平均値がきれいに並ぶように並べ替えてみました。詳細は動的分析〜資料編2の3-2.他作品評価による類型〜3要素クロス集計へどうぞ。 |
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左二つはデータの個数こそ少ないですが、標準偏差が全体のそれよりもかなり小さい値を取っており、散らばりの少ない「いいグループ分け」になっていると思います。右の二つもそう捨てたものではないのですが、もう少し細かくグループ分けしてみたいところですね。 前回の動的分析その1と、今回のその2によって、劇場版の評価に影響しそうないくつかの要素を見て参りました。これらを統合することで、劇場版への評価が異なるいくつかのタイプに分類することが出来ます。次回その3では、私なりの「劇場版評価タイプ」の類型を、フローチャートとともに示してみることにいたします。 |
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独立してテーマ化するほどではない「おまけ集計」を、また最後にちょっと載せておきます。今回は、Q1(1)の最後、「ボイス付きプレイの有無」と各種評価の関係について見てみましょう。これは上記分析によって「軸としては不適格」となってしまったゲーム版評価の「更に細部」に当たる部分のため、今回のおまけとしてもちょうどいい題材ではないでしょうか。 というわけで、まずは「劇場版AIRの事後評価」とのクロス集計から。詳細は動的分析〜資料編2の4-1.ボイスの有無と劇場版評価の関係へ。 |
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傾向があるようなないような、という感じですね。標準偏差も概して高く、この観点で切り分けたところでばらつきのあるデータにしかならないことを示しています。あえてこじつけ的に読み解けば、以下のようになるでしょうか。 ・両方プレイするようなディープなファンは、辛い評価が多い。 ・有りのみ、つまり声優付きしかプレイしていないファンは、比較的悪い評価が少ない。 次に、Q3(6)と同(7)、つまり、劇場版AIRにおいて良かった点、悪かった点をお聞きした設問の中で、「声優の演技・キャスティング」をどう判断したか、という部分に絞ってクロス集計を行なってみました。以下は「良かった」「悪かった」と評価した人の割合、そして静的分析その2での「評価率」にあたるそれらの合計値、最後にQ2(1)と絡めた「重視率」です。なお、詳細は動的分析〜資料編2の4-2.ボイスの有無と声優の演技等への評価の関係へ。 |
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まず、「良かった」と評価をした人の割合については、「有りのみ」が突出して高いですね。また、「悪かった」評価に関しては「無しのみ」が非常に低く出ています。これらはそれぞれ、評価率や重視率の高低と概ねリンクしているようですね。ゲームで声有りのみをプレイするような「普段から声優の演技などに関心が高いグループ」は、劇場版AIRにおいてもその良さを積極的に評価しており、逆に声無しで構わないという「あまり声優のことを重視していないグループ」は、劇場版AIRにおいても声優には良くも悪くも頓着していないというところでしょうか。 次回に予定しております「フローチャート」編が、動的分析の最大の山場になります(多分)。作業もそれなりに膨らむ可能性が高いので、次回も一応2週間後を目途に詳細を煮詰めていくつもりです。もしよろしければ、管理人のブログなどを通じまして、お読みいただいた感想、分析内容へのご意見等を頂ければ幸いです。 |
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