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動的分析その4〜劇場版AIRを観る前と観た後の変化 |
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2ヶ月以上にわたり続けてまいりました分析作業もいよいよ最後となります。締めくくりの今回は、劇場版AIRを観る前と観た後で、視聴者にどのような変化が起こったのか、にスポットを当ててみます。 |
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これまでクロス集計を主体に進めてきた動的分析ですが、ここで別な手法を取り入れてみましょう。それは、2つの設問に対する回答同士の差分を取って集計してみる、というものです。 まず対象とするのは、Q3(2)「事前の期待」と、Q3(4)「実際の評価」です。この2つの設問にはともに5段階評価の選択肢を用意してあるため、それぞれの評点の差を取ることで「観る前後で5段階評価がどう変化したか」を数値化できるのです。例えば、Q3(2)で「中立(評点0)」、Q3(4)で「良かった(評点1)」と回答した人は、評価の変化は「+1」となります。これらの分布を調べることで、「期待を上回った人、期待を下回った人」の状況を調べることができます。 以下に、「評点の変化」をタイプ別に集計した結果を示します。詳細は動的分析〜資料編4より、1-1.タイプ別・観る前後における劇場版AIR評価の変化の度合いをご覧下さい。 |
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こうした傾向が出ることはある程度予測できましたが、ここまで激しい数字になるとは思われなかった方も多いのではないでしょうか。変化した方向で言えば、比較的劇場版AIRに好意的なタイプであるA'・Bの中でさえ半数近い方が、C1以降については実に6〜7割の方が「評価がマイナス方向へ変化した」という回答をされています。また、変化の平均値も、Aを除く全てのタイプがマイナスという結果になっております。これは、Type-A'の人でさえも「少々期待はずれだった」という意見が多かったということに他なりません。 さて、ここで一つ検証すべきことがあります。上記の結果は、「事前の期待」によって大きく左右される数字ですので、そのまま鵜呑みにしてはいけないのです。例えば、全員が「期待満々」と回答したグループについて評点の変化を集計すれば、結果は最大でも0にしかなりません。逆に、全員が「消化試合」と回答したグループでは、全員が「最悪!」と回答しない限り評点の変化は必ずプラスになるのです。上記について言えば、「タイプC1以降が特に過大な期待を抱いていたなら、このような結果が出るのは当たり前」ということになります。従って、タイプによって事前の期待が偏っていなかったかを見ておくために、以下にタイプとQ3(2)「事前の期待」とのクロス集計の結果概要を示します。詳細は動的分析〜資料編4より、1-2.タイプ別・事前の劇場版AIRへの期待をご覧下さい。 |
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タイプによってかなり結果は異なりますが、あまりにバラつきが激しすぎて、「このような傾向にある」と言えるような美しい流れはここには見あたりません。あえて読み解けそうなのは、「AIRに最も入れ込んでいるタイプのC1は平均値がかなり低く、事前にかなり警戒していたのかも」という点ぐらいでしょうか。平均値がこのぐらいの幅〜全体と比べても±0.3未満〜に収まるのならば、「タイプによる事前の期待度の違いはあるものの、決して大きくはない」と言い切って構わないように思います。従いまして、前述の「変化の傾向」は意味のあるものと結論付けて良さそうです。 参考までに、上記の結果によって補正をかけた、評点変化の平均値を示してみます。上記Type-Aの事前の期待の評点をベースにとり、これとの差を各平均値から引いてみました。全体の傾向は変わりませんし、Aを除く全てのタイプで評点がマイナス方向に変化している点も同じです。むしろ、Type-Aとそれ以外との格差がより際立つ印象が強いですね。 |
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さて、もう一つ、違った角度から「変化」を見てみましょう。「良い印象」から「悪い感想」に変化した方や、「悪い印象」から「良い感想」に変化した方がどのくらいいたかを集計します。事前の期待が「中立」以上だった人を「プラス」、「やや後向き」以下を「マイナス」とします。実際の感想についても「普通」以上を「プラス」、「悪かった」以下を「マイナス」とします。その上で、評価が「プラスのまま」「マイナスからプラス」「プラスからマイナス」「マイナスのまま」のいずれに該当するかを判定し、その比率をタイプ別に集計してみました。詳細は動的分析〜資料編4より、1-3.タイプ別・観る前後における劇場版AIR評価の符号の変化をご覧下さい。 |
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ここで顕著なのは、右へ行くに従って「プラスからマイナス」の比率が着実に増加していることですね。「朝三暮四」の故事を持ち出すまでもなく、このような「正から負への変化」は実際の評価の絶対値以上に不満を増幅いたします。否定意見が多いタイプほどこの傾向が強まっていることを考えると、「世の中に出てくる否定的意見は、実際以上に声高に叫ばれている」可能性があるということです。肯定意見を持つ人から見て、「なぜそこまでメチャメチャに言われるのかわからない」点があるとすれば、この「増幅効果」が働いているものと考えると少し胸に落ちるのではないでしょうか。 |
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よく言われることの一つに、「劇場版AIRは、AIRという作品の啓蒙という点にこそ意味があった」という意見があります。このことについて、検証を行なってみましょう。以下は、各タイプとQ3(8)「未体験のAIRに対する意欲の変化」とのクロス集計の概要です。 評点については、5段階の一番上を+2、一番下を▲2とし、「概ね体験済み」は平均値の計算から除外しています。また、「上昇/高評価カバレッジ」は、評点がプラスだった人の人数を、劇場版AIRを高評価した人の人数で除したものです。詳細は動的分析〜資料編4より、2-1.タイプ別・劇場版AIR鑑賞による他のAIRへの意欲の変化をご覧下さい。 |
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BとC1の間を境目にして、結果は完全に真っ二つに分かれてしまいました。Bより左側は「モチベーションが大きく上昇した人が多い人たち」、C1より右側は「モチベーションがあまり上昇しなかった人たち」ということになります。当然と言えば当然なのですが、やはり劇場版を見て良い感想を覚えた人が多いほど、モチベーションの上昇する人の比率が高いようですね。 そのことを検証するために、カバレッジを見てみましょう。すると、タイプによって若干のばらつきがあるものの、概ね40〜60%台後半の範囲に収まっていることがわかります。つまり、「劇場版AIRを高く評価した人の、だいたい半数前後に当たる人数のモチベーションが上昇した」という傾向が、全タイプに共通して見られるということです。 もう一点興味深いのは、「モチベーションが下降した」と答えた人の比率についてです。この比率は意外なことに、劇場版への評価が決して高くないCやDタイプでもそれほど高くありません。もちろん、Bより右のタイプについては「概ね体験済み」という回答が多いというファクターも無視は出来ませんが、それでも「変化なし」した人の数が「下降した」という人の数よりも常に多いのは注目すべき点でしょう。 また、劇場版AIRそのものに対する悪い評価があまり無いはずのAやA'にも、モチベーションが下降したとする意見が1割程度見られるのは不思議なところですね。この点はデータを個別に見ていくと合点がいくのですが、これらの方が未体験のAIRとは、その多くがBS-i版。つまり、A・A'の方が見てもあまり高評価になるとは思えない作品なのですね。 もう一つ、ゲーム版・BS-i版・二次創作に対して「未体験」と答えた人のモチベーションの変化を、クロス集計した結果を以下に示しておきます。詳細は動的分析〜資料編4より、2-2.AIR体験別・劇場版AIR鑑賞による他のAIRへの意欲の変化をご覧下さい。 |
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二次創作ではあまりふるいませんが、ゲーム版とBS-i版においては「上昇した」と答えた人が多かったことがわかります。また、劇場版AIRを高評価した人に対するカバレッジを見てみると、いずれも全体のそれ(55.0%)を大きく上回っていることがわかりますね。 総合しますと、「劇場版AIRが、他のAIR未体験者のモチベーションを上げた」という側面は確かに見受けられます。しかし、そうして上がるモチベーションは多くの場合、「劇場版AIRを高評価した人」に偏っている実態もあります。すなわち、「モチベーション上昇効果は確かに存在したが、その範囲は限定的であった」ということになると思います。劇場版AIRがより広範な人から良い評価を受ける作品であったなら、その効果はもう少し高かったのではないか、とも考えられるところですね。 |
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最後にもう一つ、変化に関わる分析を行なってみます。アンケートでは、事前に劇場版をどのような作品と思っていたか、実際に見終わった後どのような作品と思ったかについてお聞きしました。この変化と、劇場版への評価との間にどのような関係が有るのか、クロス集計を行ってみましょう。 下表の横軸については、事前と実際で印象がどちらにいくつ寄ったか、で判断しております。変化の度合いが2項目以内であれば「小」、それ以上であれば「大」としております。事前と実際で変化が無かった人は「印象差なし」に、また、事前か実際のどちらかに「わからない」が含まれる人は「印象差不明」としました。詳細は動的分析〜資料編4より、3.事前予想との乖離度合いと劇場版AIR評価の関係をご覧下さい。 |
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「オリジナル要素」が悪評を担う要素の一つであることを考えれば、事前の想像よりも「オリジナル寄り」だった人が悪い評価に振れるのは頷けますね。ここで面白いのは、事前の予想に比べれば「原作寄り」と思った人もわずかながらいて、その人たちがやや良い評価側に振れていることです。バリバリにオリジナルものだと思って観た結果、予想よりは原典の香りが感じられ、それが良い評価につながったと読み解くことも可能だと思います。つまり、劇場版AIRを観る前には「かなり原作とかけ離れた作品である」と思っておいて損は無い、ということですね。 但し、この分類はどの項もかなり標準偏差値が高いので、あまりいい結果とは言えません。原作寄りに変化した人は高評価、オリジナル寄りに変化した人は低評価、という風に言い切るのはかなり無理があるのです。あくまで「そういう傾向も見受けられる」というぐらいに留めておくのが無難でしょう。 |
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今回が最後の考察ということで、棚上げのまま残っているものはないか、今までの分析過程で「宿題」にしていた項目を振り返ってみました。幸いほとんどの宿題については、直球ではなくともある角度から光を当てることに成功しており、新たな作業を起こす必要はなさそうだと結論いたしました。ところが、完全に「たな晒し」で残ってしまっている宿題を一つだけ発見。それが、「声優のキャスティング・演技」の評価が高かった理由についての考察です。 止せばいいのに、静的分析その2では「声優」要素について、私はこう述べております…。
「声優がコンシューマ版と同一」ということをプラスに評価できる人はどのような人でしょう。それは、少なくともボイス付きゲーム版を遊んだ経験がある人です。これについては動的分析その2のおまけ分析で若干触れており、ボイス付きゲーム経験のある人の方が「声優」要素を若干高評価する傾向が現れていました。しかし、あれだけで「声優が同一なことが高評価されている」と結論付けるのはかなり無理があります。ここでは更にもう一歩踏み込んで、各タイプごとに同様の検証を行ってみます。以下は、各タイプを「ボイス付きゲームプレイの有無」で分けた人数です。詳細は動的分析〜資料編4より、4-1.タイプ別・ボイス付きゲーム版AIRプレイの有無をご覧下さい。 |
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これらグループごとの声優要素に対する評価を調べ、タイプ別に「ボイスの有無が声優要素の評価に影響しているか否か」を検証してみます。声優要素への評価については、静的分析その2で行なったのと同様に「声優」要素に対しての「得失点差」を採用します。これを各人数で割ったものを「得失点差比率」とし、これがボイスの有無で変化しているかどうかを見ることにします。詳細は動的分析〜資料編4より、4-2.タイプ別・ボイス有無別・声優要素に対する得失点差をご覧下さい。 |
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タイプによってかなりの違いが生じました。ここで、「ボイス付きでゲームをプレイしていること」が間違いなく声優の高評価につながっていると思われるタイプは、A・A'・C1の3つです。これらのタイプは、ボイス付きゲームプレイ体験のある人の得失点差比率自体も他のタイプより高く、しかもボイス有無によって得失点差比率に大きな差が出ているのです。 このうち、A・A'の2つは「劇場版AIR肯定クラス」、C1は「AIR広範肯定型」です。つまりこれらの方々は他のタイプに比べ、劇場版AIRか、或いはその他のAIRに思い入れの強い人たちということになりますね。断言は出来ませんが、これらの方々の中に「コンシューマ版と同じ声優を起用したことをプラス評価する人が多く含まれること」は十分に想像できます。 それ以外のタイプについては、「ボイス有」がわずかにプラスに寄与していると思われるもの(C2、D)、逆に「ボイス有」がマイナスの影響を及ぼしているもの(B、C3)があります。これらにはいずれも、「コンシューマ版と同じ声優を起用したことをプラス評価した人の割合は少ない」ことが推測されます。 以上をまとめて、迫力には欠けますが、一応の成果ということで結論付けましょう。 ・劇場版AIRの声優陣がコンシューマ版と同一だったことを、プラスに評価した人たちは確かに存在するようである。 ・但し、そうした人は「劇場版AIR高評価クラス」もしくは「AIR広範肯定型」のいずれかに偏って存在する可能性が高い。 ・その他の人は、上記の人たちほど「完全に同じ声優」には拘らなかったことが、アンケート結果から推測できる。 |
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お疲れ様でした。これをもちまして、劇場版AIR第2回アンケートの分析を終了いたします。もっと良いやり方があったのではないか、分析テクニックや考え方がかなり未熟だったのではないかという反省の念も強く抱いておりますが、ひとまず一定の成果を残せたことを良しとして、筆を置く事にいたします。投票受付を開始してから今日まで3ヶ月あまり、投票していただいた方、このページの存在を宣伝してくださった方、日々このページを見に来てくださった方、温かい励ましを下さった方、そうした数多くの善意に支えられて、私はここまで来る事ができました。陳腐な言葉しか思いつきませんが、言葉では尽くせぬほどの感謝の気持ちを込めまして、改めて皆さまに申し上げたく思います。本当にありがとうございました。 もしよろしければ、管理人のブログなどを通じまして、お読みいただいた感想、分析内容へのご意見等を頂ければ幸いです。 |
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