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動的分析その1〜「アニメに期待するもの」と「BS-i版評価」とのクロス集計 |
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今回から動的分析のフェイズに入ります。静的分析が「票の合計結果」のみを材料に進める分析だったのに対し、動的分析では「個別の票を色々な切り口で再分類する」ことを含めて考察していくことになります。 それを実現するために動的分析では、「クロス集計」という手法が加わります。クロス集計についてご存じない方は、劇場版AIR第2回アンケートに係る動的分析のページで、「クロス集計とは」という項目を設けて説明しておりますのでそちらをご覧いただければと思います。今回の「動的分析その1」では、BS-i版に対する評価とその他の項目の関係のうち、主に「アニメ一般への嗜好」に絡む部分を読み解いていきましょう。 |
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まず最初は、Q2(2)とQ3(2)の関係から。以下は抜粋表になりますので、詳細な結果は動的分析〜資料編1・1-1.原作付きアニメに求めるものと評価との関係をご覧下さい。 |
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一般的な原作付きアニメに対して「原作寄り」を求める人の方が、BS-i版AIRに対する評価は良いようです。逆に、「オリジナル寄り」の展開を希望する人の評価が相対的に低い結果も出ておりますが、アンケート全体に対して票数が少なめであること、相対的に低いとは言っても依然として良い方の評価が大半を占めること、中庸・不明と比べて特に大きく異なる結果ではないことなどから、「オリジナル寄り=低評価」と断言するのは危険です。標準偏差から読み取れる部分も含めて、ここでは好みが「原作寄り」の方が、良い評価に集中すると言うに留めましょう。
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続いて、Q2(3)とQ3(2)の関係も見てみましょう。同様に以下に抜粋表を載せます。詳細は動的分析〜資料編1・1-2.今のアニメへの満足度と評価との関係をご覧下さい。 |
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一応、先ほどの集計に倣ってまとめますと、今のアニメに好意的な人の方が、良い評価に集中すると言えそうな結果が出ております。しかしながら、もう少し突っ込んで見てみますと、これはやや不安を残す結果になっていることがわかります。先ほどは「原作寄り」と「オリジナル寄り」との評点平均値の差が0.4近くありましたが、今回は最も良い「好意的」と最も悪い「不明」を比べても、差は0.2強しかありません。この内容で、統計的な差が生じていると結論付けてもいいのでしょうか。 |
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以上2つの分析結果を、統計学的な手法を用いて検証してみましょう。まず、Q2(2)の「原作付きアニメに期待するもの」、Q2(3)の「今のアニメへの期待度」、そしてQ3(2)の「BS-i版への評価」の結果を組み合わせた、3要素に対するクロス集計を行います。以下がその結果です。詳細は動的分析〜資料編1・1-3.原作付きへの期待・アニメへの満足・評価の関係をご覧下さい。 |
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一見、非常にキレイな傾向が現れたように見えますね。ここで、「χ(カイ)二乗検定」という手法を用いて、この分類が「有意」(=統計的に意味のあるもの)であるのかを検証してみます。一般に、χ二乗検定の流れは以下のようになります。 ・ある切り口について差が生ずることを、「統計学的に有意ではない」と仮定する。(=帰無仮説、つまり棄却されることを期待して立てる仮説) ・その仮定に基づき、その切り口で差の出ないデータ群(=期待度数)を、元のデータ群から作成する。 ・2つのデータ群から「χ二乗値」という数値を算出する。 ・χ二乗値がある値より大きければ帰無仮説は棄却され、その切り口による差は統計学的に有意と判断できる。逆に小さければ帰無仮説は期待に反して採択されてしまい、その切り口による差は必ずしも統計学的に有意とは言えないことになる。 …これだけ読んでいても難しいですね?実際にやってみましょう。まず、「帰無仮説」を「今のアニメに好意的であるかどうかは、BS-i版の評価に影響しない」としましょう。この帰無仮説が棄却されれば「今のアニメに好意的である人ほどBS-i版の評価が高い」として良い事になります。逆に仮説が採択されれば、「このアンケートの結果から今のアニメへの期待度とBS-i版の評価を結びつけるのは無理がある」ということです。 続いて、帰無仮説に基づいた「差の出ないデータ群」を作成してみます。各合計値は上記の表と変わらないようにしながら、各評点の分布が均一になるように平準化するのです。これは上記の表の数値を使って、加減乗除の組み合わせで簡単に作成できますので、興味のある方はやってみてください。例えば、以下の表の左上の「74.2」という値は、(80+119)÷(88+148)×88で求めています。 |
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続いて、χ二乗値の算出です。Χ二乗値は、二つの表の各セルについて差をとり、それを二乗して期待度数で割ったものを全て合計することで求められます。例えば下記表の左上「0.45」は、(80-74.2)^2÷74.2で算出されています。こうして求めた各セルの計算結果は以下の通りとなり、この表全体の合計=χ二乗値は12.02となります。 |
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最後にこのχ二乗値を、χ二乗分布表上の値(限界値)と比較します。詳細は省きますが、限界値は「自由度」と「有意水準」を決めることで定まります。今回の検定対象となる表は5行×4列の表なので、「自由度」は4(行数−1)×3(列数−1)=12となります。また、「有意水準」の方は通常の検定でよく利用される「5%」という値で十分でしょう(より厳密さを求める場合には、より小さい有意水準を用います)。自由度12、有意水準5%の限界値を分布表から調べると、21.026。この限界値とχ二乗値を比べると、χ二乗値が十分に小さな値であることがわかりますね。よって、帰無仮説は棄却することができず、少なくとも今回のアンケートの結果のみから「今のアニメに好意的であることとBS-i版の評価には相関関係がある」と結論付けるのはやや無理があることになります。 なお、もう一方〜原作寄りを好むこととの関係〜についても検証は行ってあります。つまり「帰無仮説」を「原作付きアニメに原作寄りを求めるかどうかは、BS-i版の評価に影響しない」としたわけです。この場合、χ二乗値は27.59となり、限界値21.026よりも大きな値となります。従って帰無仮説は棄却され、「原作寄りを好むこととBS-i版への評価には相関関係がある」と結論して良いことになります。
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さて、アニメ一般に関する観点の残り一つ、「一般的にアニメの何を重視するか」とBS-i版の評価との関係について、先ほどと同様のクロス集計を行うことになりますが、その前に一点、別な視点での分析を以下に示します。Q2(1)「一般的にアニメの何を重視するか」と、Q3(4)及び(5)「BS-i版で良かった要素・悪かった要素」の関係を調べてみましょう。以下の表ではそれぞれの要素について「一般に重視する」と答えた人の中で「BS-i版でその要素が良かった(悪かった)」と答えた人の比率、逆に「一般に重視する」と答えなかった人の中で「BS-i版でその要素が良かった(悪かった)」と答えた人の比率をまとめ、さらにその間での差分を取っています。詳細は動的分析〜資料編1・1-4.要素ごとの「重視度合い」と「BS-i版での評価」の関係をご覧下さい。 |
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この結果を見てみると、以下の3種類に分類可能なパターンがあることに気付きます。
重視する人の方が2割以上良い評価が多く、悪い評価は少ない要素(キャラデザ、作画、原/オリ)
重視する人の方が2割以上良い評価が多いが、悪い評価も若干多い要素(演出、シナリオ、声優)
重視する/しないによって良い評価も悪い評価も極端には変動しない要素(動き、BGM、話数) この分類を、静的分析その2で行ったグループ分けと組み合わせてみると、以下の通りとなります。 |
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さて、ここで問題です。以上の結果から、「どの要素を重視する人がBS-i版への評価が高くなるか」を予測することが出来ないでしょうか。 まず、「重視者偏重」に分類される3つの要素については、重視する人がかなり良い評価に傾いていることになりますから、相関関係が見出せる可能性が大きいですね。次に「重視者乖離」に分類される3要素ですが、これらを重視する人は悪い評価も増加してしまうため、切り口とするにはあまり適切ではないと考えられます。最後の評価安定に属する3つは微妙なところですが、この中ではグループAに属する「動き」が重視する人の良い評価が9割超と突出して高いため、切り口として期待できる印象を受けます。 |
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以上を踏まえて、「一般的にアニメの何を重視するか」とBS-i版の評価との関係を見るべく、Q2(1)とQ3(2)とのクロス集計を行って見ます。詳細は動的分析〜資料編1・1-5.一般にアニメで重視する要素と評価との関係をどうぞ。 |
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いかがでしょう。前項で見た「重視者偏重」に分類される「キャラデザ」「作画」「原/オリ」の3要素と、「評価安定」かつグループAに属する「動き」については、全体のそれよりもよりも高い評点平均値が得られています。標準偏差も全体のそれよりも低くなっており、切り口として利用できるかを検討する価値は十分にありそうです。 ただし、これらがそのまま使えるかと言えば、答えはNoでしょうね。その理由は、一つは「全体の評点と比べて、それほど差が大きくない要素が多い」こと。もう一つは、「1%強〜2%近くの普通以下の評価が含まれるのは、あまり良い分類とは言えない」ということです。この点をクリアしつつ、これら4つの要素を用いた切り口を実現するにはどうしたら良いのか。そこで一つの案が閃きました。「これら4つの要素のうち、いくつの要素を重視するか」で切り分けられないでしょうか。 それを行なってみたのが以下の表です。ここではBS-i版評価への影響が大きい4つの要素〜「キャラデザ」「作画」「動き」「原/オリ」〜のうち、いくつの要素を重視するか、それによってBS-i版の評価がどう変わるかをクロス集計しております。詳細は動的分析〜資料編1・1-6.「BS-i指標4要素」のうち重視する要素の数と評価との関係をどうぞ。 |
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思わずガッツポーズですよ。ここまで明確な差が出せて、嬉しいのなんの。上に挙げた4つの要素〜「BS-i指標4要素」と名づけました〜のうち、重視する個数が2つ以上か未満かで、はっきりと結果に差が出ております。重視する個数が2つ以上の場合は、普通以下の評価がほとんど含まれていないため、平均値は1.8を大きく上回っている上に標準偏差も0.4前後と非常に小さな値を取っております。BS-i指標4要素のうち2つ以上を重視する方は、かなりBS-i版を高評価する方と言って良いと思います。(なお、詳細は省きますが、χ二乗検定でも有意という結果になりました。) |
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必ずしも今回のテーマとは絡まないうえ、統計的にも意味合いの小さい「おまけ集計」を最後にちょっと載せておきます。まず、性別による評価の違いから。詳細は動的分析〜資料編1・2-1.性別の評価へ。 |
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「女性」「無回答」を合わせても全体の1割にも満たないため、「性別によって評価に違いがある」とは到底言えません。むしろ、全く差はない、とする方がいいかも知れませんね。なお、女性の平均値は高いのに標準偏差がやたらと大きいのは、21人が最高評価を付けているにも拘わらず、1人が最悪評価を付けているためです。母数が少ないと1件のイレギュラーもかなり結果に響く可能性が高い、という好例でございます。 もう一つ。年代別の評価の違いです。詳細は動的分析〜資料編1・2-2.年代別の評価へ。 |
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先ほどの性別の結果に比べると、若干の傾向は出ているかのように見えますが、これは実は統計的には誤差の範囲です。Χ二乗検定を行うと、「年代によって差が出ない」という帰無仮説は棄却することが出来ないのです。30代の評価が低めに出ている辺りは、ひょっとしてこの年代がシニカルなのではないか〜とか考えると面白いんですけどもね。それは「たまたまそう見えるだけ」としておく方が無難のようです。 いかがでしたか?前回の静的分析その3がかなりマニアックかつ興味深い領域に踏み込んでいた分、今回は少々薄味に感じられたかもしれませんね。次回以降も頑張っていきますので、どうぞ楽しみにお待ちくださいませ。もしよろしければ、管理人のブログなどを通じまして、お読みいただいた感想、分析内容へのご意見等を頂ければ幸いです。 ブログの関連記事です。→BS-i版AIRアンケート・動的分析その1公開 |
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