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動的分析その2〜「その他作品の体験・評価」と「BS-i版評価」とのクロス集計 |
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前回の分析から9ヶ月以上も放置状態に陥ってしまい、誠に申し訳ありませんでした。今も「今後の定期的な更新」をお約束できるほどの明るい展望はないのですが、最後まで責任を果たすつもりはありますので、どうかご容赦下さい。さて、今回も前回に引き続き、クロス集計を主に利用した動的分析を進めてまいります。それでは「事前の他作品の体験・評価と、BS-i版への評価の関係」を見ていきましょう。 |
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さて、まずは事前の体験の有無と評価の関係をまとめてみます。内容はQ1(1)〜(3)の各体験に関わる設問、そしてQ3(7)の結果についての、Q3(2)の結果との相関です。以下にそれらを抜粋し、横に並べてみました。詳細は動的分析〜資料編2より、1-1.ゲーム版体験と評価との関係、1-2.劇場版体験と評価との関係、1-3.二次創作体験と評価との関係、1-4.京アニ作品体験と評価との関係をご覧下さい。 なお、以下の表を作成するに当たっては、主に「BS-i版鑑賞前に体験しているか否か」という観点で切り分けを行なっていますが、Q1(3)、すなわち二次創作に係る部分についてはそうした切り分けが難しいため、「見かければほぼ必ず読む」「面白そうなものを選んでよく読む」の2つの回答を積極派ということで「経験あり」とし、それ以外を「その他」として切り分けてあります。 |
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【おおむね「体験の有無」では、それほど評価に差なし】 |
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まず最初に触れておきたいことは、標準偏差の値についてです。一般に「意味のある切り口」で切り分けを行なうと、標準偏差は全体に比べて小さくなり、評価が偏りを示すようになります。しかし、上記では標準偏差が全体並というパターンが多く、あまり良い切り分けでないことを示していると言えます。 そのことを裏付けるように、ほとんどの作品の体験はBS-i版の評価に大きく寄与してはおりません。一応、どの作品についても「事前に体験していた方がやや評価が高まる」といった傾向は見られますが、劇場版・京アニ作品について言えばはっきりと誤差の範囲ですし、その2つに比べて若干差があるように見受けられるゲーム版についてさえ、χ二乗検定を行うと「必ずしも体験の有無によって差があるとは言えない」結果になります(χ二乗検定については、動的分析その1をご参照下さい)。劇場版アンケートの際にも同様の結論を出しましたが、やはり重要なのは「他作品の体験の有無」ではなく、「他作品に対する評価」の方にあるのではないでしょうか。 |
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【唯一大きな違いを生じた「二次創作」】 |
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ところが、そのような大方の傾向とは全く異なる結果が、何と「二次創作」の部分で現れております。このことを事前に予測できた人は、恐らくほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。データに直接触れていた私でさえ、実際に数値を出してみるまでは全く予想しておりませんでした。 二次創作的な色彩が大変強いと言われる劇場版においてさえ、二次創作の体験の有無は評価に全く影響しておりませんでした。ましてや、かなり原作寄りと評価されているBS-i版において、二次創作の体験が評価を左右するとは思えなかったのです。しかし、結果は上記の通り。χ二乗検定ではχ二乗値=9.155、限界値=9.488と、辛うじて超えてはいないものの相当際どい結果になっております。ひょっとしたら、二次創作に対する評価の高低が、BS-i版評価に影響するのでしょうか? |
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続いて、他作品への評価とBS-i版への評価の関係をまとめてみます。内容は先程と同様に、Q1(1)〜(3)の評価に関わる設問、そしてQ3(9)の結果について、それぞれQ3(4)の結果と相関をとり、抜粋して横に並べてあります。詳細は動的分析〜資料編2より、2-1.ゲーム版評価とBS-i版評価との関係、2-2.劇場版評価とBS-i版評価との関係、2-3.二次創作評価とBS-i版評価との関係、2-4.京アニ作品評価とBS-i版評価との関係をどうぞ。 なお、他の質問とは選択肢が異なる「京アニ作品の評価」については、「概ね高く評価している」のみを高評価としました。 |
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【劇場版評価の高低は、BS-i版評価に明らかに影響している模様】 |
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このことは、劇場版アンケートの結果からある程度予測できておりました。やはり「劇場版AIR」と「BS-i版AIR」の評価は、概ね相反するものである、ということなのだと思います。 細かく見ていきますと、上記の結果は「劇場版を高評価する人は、その他一般に比べてBS-i版を低く評価する割合が多い」ということになりますので、「BS-i版を高評価する人」の切り口を求めようとする場合には注意が必要です。また、「劇場版高評価」と括った際の評点の標準偏差がかなり大きく、ばらつきのあるデータ群になっている点も要注意と言えましょう。もう少し内容を精査した上で、どこにラインを引くのか考える必要があると思われます。 |
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【期待された「二次作品の評価」は…】 |
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…あれっ?先の「二次創作の体験の有無」で抱いた期待は、一体どこへ…? これは、管理人としてはものすごく残念な結果でした。てっきり「二次創作」と「BS-i版」の評価の間に、明確な相関関係が導き出されるものと思い、集計を進めていたのです。しかし、結果は上記の通り。一見、その他の作品に比べれば「二次創作を高評価する人の方が、よりBS-i版を高評価している」と判断できそうな結果に見えますが、例によってχ二乗分析を行えば「誤差の範囲」です。この点は、どうしても諦めざるを得ません。 未練がましく付け加えますと、この結果は「二次創作評価とBS-i版評価の間に、明確な相関関係があるとは必ずしも言えない」ということを示しているに過ぎません。母集団によっては、きちんと相関が示せる可能性もあるのです。少なくとも、他のものに比べれば二次創作の影響が大きいように見えた、という点には何か意味がありそうな気がするのですよ。 残念ながら、「驚くべき結果」を導き出すには至りませんでしたが、以下ではその「意外な結果が出そうだった部分」について、以下に少し考察してみます。 |
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「連立方程式」をご存知でしょうか。共通の変数を持つ複数の方程式です。一般に一次方程式の場合、変数と同じ数の式があれば、それらを組み合わせることで全ての方程式を満たす解が求まります。中学校の数学で、その様子がグラフでも確認できることを勉強した記憶があると思います。以下のグラフでは、各方程式を表す2本の直線が交わる点の座標が、2つの式を同時に満たすXとYの値を表しています。 |
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ところが、変数と同じ数の式があっても、解を求めることができないケースが存在します。それは、グラフ上に表現した数式がお互いに交わらない場合です。連立二元一次方程式の場合、これらは平行線としてグラフ上に表現されます。例えば、以下のようなケースが該当します。この2本の式を同時に満たすX・Yの組み合わせは存在しないため、「解なし」となります。 |
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ここでAIRの評価の話に戻りましょう。前回アンケートで劇場版AIRの評価を決定付ける要因として有効だったのは「ゲーム版」「BS-i版」の2つであり、前評判で最も期待されていた「二次創作」は全くと言っていいほどBS-i版の評価に影響していませんでした。また、今回判明したところでは、BS-i版の評価への影響が大きいのは「劇場版」と「二次創作(疑義あり)」であり、「ゲーム版」はその2つに比べると明確な傾向が現れません。 このことを、次のように捉えることはできないでしょうか。「互いに作風が似ている」とされるものを、グラフにおいて傾きが等しい二本の線、すなわち「平行線」として考えてみるのです。 |
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・「ゲーム版」と「BS-i版」は平行線の関係にある。 ・「劇場版」と「二次創作」もまた平行線の関係にある。 ・互いに平行線の関係にある作品の評価からは、もう一方の作品の評価を読み解くことはできない(解なし)。 この概念をグラフのようなイメージで表すと、以下のような感じになります。 |
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このグラフにおいて、互いに交わる2つの作品への評価にはある程度の相関関係が存在し、片方への評価が定まれば他方の評価を類推することが可能です。しかし、互いに交わらない2つの作品については、片方の評価がわかってももう一方への評価を推測することが困難です。こう考えると、「一般に原作に近いと言われることの多いBS-i版」「同様に、同人作品的な色彩の強いと言われる劇場版」という風評を是とした上でなお、アンケートの結果ではその評価に明らかな関連性が認められない理由を説明できるように思えるのです。 これは、2つのアンケート結果から導かれた結果を説明するための、「モデル」の一種です。このモデルを証明する手立ては今のところありません。さらにここでは、劇場版とBS-i版の関係が真逆であるのに二次創作とBS-i版の関係がそうならないのは何故か、といった問題に対する説明もできません(グラフの「傾き」が必ずしも評価状況を表すわけではないのですが、それでも直感的に納得のいかない部分が残ります)。ですが、一つの考え方としては面白いのではないかと思い、ここに公開しておくことにします。 |
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独立してテーマ化するほどではない「おまけ集計」を、また最後にちょっと載せておきます。今回は、Q1(1)の最後、「ボイス付きプレイの有無」と各種評価の関係について見てみましょう。 まずは「BS-i版AIRの事後評価」とのクロス集計から。詳細は動的分析〜資料編2の3-1.ボイスの有無とBS-i版評価の関係へ。 |
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ボイス無しのみの評価が高いですね。また、平均値で評価が低いのは「両方プレイ」の方々ですが、普通以下の評価の割合が最も高いのは「ボイス有りのみ」の方になっています。…これは、いわゆる「緑川→小野効果」というヤツなのでしょうか?あ、いやいや、これ以上は踏み込みませんよ?(苦笑) 国崎往人のキャスティングの件を除いて冷静に考えれば、ボイス無しの経験しか持たない方は、BS-i版で声優さんの演技に初めて触れたことになります。その影響が、上記のような結果になって現れた、という見方には説得力があるように思えます。「ボイス無し」の部分に限って、明らかに標準偏差が小さい辺りも重要です。つまり、「ボイス付きプレイの方が低評価」とは読めなくとも、「ボイス無しプレイの方が高評価」という風には読める気がします。 しかし、一見明確な傾向があるように見えるこのデータ、χ二乗検定してみると統計学的に有意とは言えないデータであることがわかります。読み取れる傾向は「正しいかもしれない」ですが「ただの偶然かもしれない」のです。ですから、「声優さんが原作と違うことで評価に影響が出たかどうか」についても「初めて声優さんの演技に触れたことの影響」についても、今のところは話半分でございます。
次に、Q3(4)と同(5)、つまり、BS-i版AIRにおいて良かった点、悪かった点をお聞きした設問の中で、「声優の演技・キャスティング」をどう判断したか、という部分に絞ってクロス集計を行なってみました。以下は「良かった」「悪かった」と評価した人の割合、そして静的分析その2での「評価率」にあたるそれらの合計値、最後にQ2(1)と絡めた「重視率」です。なお、詳細は動的分析〜資料編2の3-2.ボイスの有無と声優の演技等への評価の関係へ。 |
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「良かった」と評価をした人の割合は「ボイス有りのみプレイ」が突出して高く、逆に「悪かった」評価は「ボイス無しのみプレイ」が低く出ております。実はこの傾向、劇場版第2回アンケートで得られた結果と同じような傾向なのです。これらがそれぞれ評価率や重視率の高低と概ねリンクしているらしい点までそっくり同じ。これは「BS-i版についての分析結果」ではなく、ひょっとしたら普遍的な傾向なのかもしれませんね。ここではAIRという作品の2種類のアニメ化について、しかも限られた母数でのアンケートの結果から見えただけの結果ですが、他作品でもそういう傾向が見られるのだとしたら、とても興味深いことだと思います。どなたか、そういう調査をしてみませんか?そしてその結果、もしも何かわかったら、是非私にも教えてください。(^_^; 前回の動的分析その1と、今回のその2によって、BS-i版の評価に影響しそうないくつかの要素を見て参りました。これらを統合することで、BS-i版への評価が異なるいくつかのタイプに分類することが出来ます。次回その3では、私なりの「BS-i版評価タイプ」の類型を、フローチャートとともに示してみたいと思います。もしよろしければ、管理人のブログなどを通じまして、お読みいただいた感想、分析内容へのご意見等を頂ければ幸いです。 ブログの関連記事です。→BS-i版AIRアンケート・動的分析その2公開 |
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