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静的分析その2〜各要素の評価を調べてみる |
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お待たせ致しました。「静的分析その2」では、劇場版AIRを構成する各要素への評価を、引いたり足したり割ったり並べたりしながら、紐解いていこうと思います。 |
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まず、BS-i版AIRの各構成要素に対する評価の概観を見てみます。Q3(4)・(5)を並べ、更に(4)−(5)を「得失点差」として、一覧表にまとめてみました。この手法は劇場版第1回アンケート以来のものと同様の分析ですが、全体感をつかむのに大変有用なため、今回も全く同じやり方をとっております。 |
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ほとんどの要素において大絶賛傾向です。ここまで極端だと、何だか分析するのがバカらしくなるくらいなのですが、だからと言って何もしないわけにもいきません。そこで、辛うじて見える傾向を元に4つのグループに振り分けてみました。以下、このグループごとに傾向を見て参ります。 グループA:圧倒的に良い評価を受けているもの(b.静止画、c.動き) グループB:良い評価が多く、悪い評価が非常に少ないもの(a.キャラデザ、d.演出、f.声優、g.BGM) グループC:良い評価が多いが、悪い評価も比較的多いもの(e.シナリオ、h.原/オリ) グループD:良い評価よりも悪い評価の方が多いもの(i.話数) |
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このグループAは、以下のような特徴を持っております。一覧表を再掲しますので、見比べてみてください。 ・悪い評価はほとんど皆無に近く、良い評価は85%超と圧倒的に多い。 ・良い評価の数単体でも全要素のベスト2であり、最も人気の高い2要素と言える。 |
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グループAからCまでの要素は、どれも過半の方が良い評価をされており、一方で悪い評価をされた方は1割未満であるため、いずれも広く一般に薦められる要件を満たしております。しかし、その中でもこのグループAに属する2つは、ほとんど大絶賛と言って良い超・オススメポイントです。 うち、最も良い評価が多い(約89%)一方で、何と誰一人悪く評価した人がいないという「b.作画の質(静止画として)」は、誰に勧めても文句なしの超一級品であると言えましょう。これに続く「c.アニメ(動き)の質」も、良い評価が約86%、悪い評価が1%未満ですので、同じく超一級品と称して差し支えないと思います。この2つの要素は、アニメーションを表現する技術力に関する項目として括ることが出来ます。BS-i版AIRにおいて最も絶賛されたのは、これらの技術力である、という風に読めます。 |
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グループBについても、特徴を挙げてみましょう。 ・良い評価は7割台〜8割強と非常に多い。 ・グループAに比べると悪い評価が若干目立つが、5%未満と大変少ない。 ・良い評価数では全要素の3〜6位であり、グループAに次ぐ位置づけの4要素。 |
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これらがグループAと異なるのは、良い評価が若干少ない点と、悪い評価が1%以上存在する点です。しかし、グループAと比較してしまえばやや見劣りする印象を受けてしまうものの、単体で見ればグループBも十分に「絶賛された要素」であることに変わりはありません。グループAを「大絶賛ポイント」と呼ぶならば、このグループBは「中絶賛ポイント」とでも言える要素であると思います。 このうち、「a.キャラクターデザイン」と「d.演出効果」については、主に絵作りに関わる要素です。ただし、同じく絵作りの要素であるグループAとは異なり、「どのように表現するか」という手法の部分に関わる要素です。そこに影響するのは技術力よりも作り手の感性であり、従って見る側としても好みにより賛否の分かれやすい項目であると言えましょう。グループAに比べて劣後した理由として、そうした特質の違いも影響している可能性もありますね。 一方、残る「f.声優のキャスティング・演技」「g.BGM・挿入歌」はともに音響に関わる要素です。そして、いずれもゲーム版のそれをほぼそのまま持ち込んだ要素でもあります。アンケート回答者の8割以上が鑑賞前にゲーム体験済みである点と合わせて考えますと、これらに対する評価の高さは、元々高いゲーム版の各要素への評価がそのまま現れていると解して良いでしょう。また、やや強引ではありますが、主人公・国崎往人の声優さんがゲームと異なってしまった点において、声優要素はBGM要素よりも良い評価が減っている、という解釈も通ると思います(本来なら推測で終わらせずに数字で示すべきですが、劇場版ではこの関係で結構苦労したこともあり、とりあえずこの場はこの程度で流させて頂きます(^_^A;))。 |
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続いて、グループCです。 ・良い評価は依然多いが、その割合は6割台と、全要素の中では少なめ ・その一方で悪い評価が5%を超えており、無視できない水準に |
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「良い・悪い」の二元論で言えば、このグループCも良い評価が過半数を占めていることに変わりはありません。しかし、グループAやBと比較した時には、やはりそれらとは明確な違いがあるように思われます。 特徴的なのは、「悪かった」とした人の数が、それぞれ20名を超えていることです。今回のアンケートでは、BS-i版そのものに対する評価で「普通」以下と答えた方は13名しかおられません。つまり、シナリオ・原作/オリジナルの両要素を悪かったとした人の中には、BS-i版自体を「良い」以上に評価した人が最低でも8〜11名含まれることになります。従って、グループCは作品全体を「良」とした人の中でも、「この点は悪かった」と判断した人が若干以上存在する要素ということになります。 なお、シナリオ関連やオリジナル部分は劇場版AIRアンケートでもかなり評価の悪かった要素であるため、元より見解の分かれやすい要素である、との見方も可能なのですが、特に「オリジナル」に関連する方は選択肢を若干変えてあるため、一概には言えないという気もいたします。従って、ここではこれ以上の言及は避けておきます。 |
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最後に、グループDです。と言いましても、中身は「話数・シリーズ構成」の一つのみなのですが、他の要素に対する評価とは全く異なる特徴を示しておりますので、やはり別個のグループとして分けざるを得ないと判断しました。 ・得失点差上は大きくマイナスになっている。 ・悪い評価が60%超と非常に多い。 ・ただし、良い評価も2割弱存在している。 |
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唯一の「悪い評価の方が上回った」要素が、「話数・シリーズ構成」です。話数とシリーズ構成を一まとめにしてしまったことにはかなり問題があったかな、とも感じておりますが、今さらどうしようもないので、このまま考察を進めてまいります(毎回、こういう不備がどこかに必ず残りますね…申し訳ないです)。 放映開始当初からその詰め込み気味な進行には多くの意見が出されておりましたし、放映終了後も「どこそこの部分にあと×話当てることが出来れば…」といった意見はたくさん聞かれましたので、この結果は非常に納得感のあるものだと思います。BS-i版を好まない方はもちろん、BS-i版自体を肯定的に捉える方にとっても「全体の進行」については大変残念であったと評価した結果が、この数字に現れております。 ただ、この部分を単に「悪い要素だ」と片付けるのは楽なのですが、2割弱存在する良い評価を無視は出来ません。劇場版アンケートにおける、同様の位置づけの要素〜シナリオ・演出〜にかかる考察を思い出してください。あの2つの要素も今回のグループDと同じく、過半数の悪い評価と、無視できない数の良い評価を受けておりました。そして、動的分析の過程において、「これらの要素に対して拒絶反応を起こさなければ、全体に対する評価も高まる」という傾向が見えた、大事な項目だったのです。 今の段階で大口を叩いたり、或いは憶測でものを言ってにっちもさっちもいかなくなるのはまずいので、このぐらいにしておきます(苦笑)。できれば、この項目から何かを読み解いていきたいな、という前向きな考えは抱いております。 |
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以上の考察を、やや乱暴ではありますが、一つの表としてまとめてみました。 |
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こうして俯瞰してみると、単にここが良かった・ここは悪かったという視点に留まらない、BS-i版AIRに対する評価の構造が見えて参ります。BS-i版AIRについては、実際に見える画面〜絵そのもの、物理的な表出部分が最も高く評価されており、概念的、大局的な要素になるほど評価の度合いが低くなっていっていると解することが出来るのです。 BS-i版に対してネガティブな評価をされる方の意見として、「作画はいいが、所詮はそれだけ」「作家性の明確さにおいては、劇場版に遠く及ばない」という評を聞いたことがありませんか?これらの意見は一見感情的なものとして捉えられがちです。しかし、ほとんどの方がBS-i版に対して肯定的な評価をしている今回のアンケートの中においても、その意見とややダブる結果が示されているのです。これは大変に興味深いことだと思います。何故ならこの結果は、BS-i版に対する評価の高低に関係なく、BS-i版の強みと弱みを皆さんがしっかりと捉えておられるという事に他ならないからです。 なお、上記のことは一つの可能性を示唆しております。それは、評価の傾向分析が何とか可能であった劇場版アンケートと異なり、BS-i版においては「どのような人でも絶対値が異なるだけで評価傾向は概ね似通っているのではないか」ということです。まかり間違うと、劇場版で解いたような「Type分け」のような分析は困難かもしれません。詳細は動的分析の過程で改めて読み解く必要がありますが、分析を行なう者の「懸念」ということで、一応書き記しておきます。 |
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最後に、これらBS-i版の各要素はどのくらい注目されていたのか、またそれは一般にアニメ作品の鑑賞にあたり重視される点とどう違うのか、について考察してみます。 まず、Q3(4)・(5)を加算したものを、「評価点」とします。これは、良い悪いは別にして何人の人がその要素を気に留めたかを表す数字となります。これを、投票人数360で除したものを「評価率」とします。評価率が100%に近いほど、多くの人がその要素に注目したことになります。 更に、Q2(1)の結果も並べてみます。Q2(1)は一般にアニメ作品において重視する点です。これを「重視点」とし、同様に投票人数で除したものを「重視率」とします。この「評価率」と「重視率」の「差分」を求めることで、BS-i版AIRにおける各要素への注目のされ方が評価できます。(なお、表中濃いめの赤は最も比率の大きい数項目、オレンジは次点の数項目、水色はは最も比率の小さい項目を示しています。) |
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ほとんどの要素において、「普段重視する度合い以上に、BS-i版の各要素を注視している」という結果になりました。しかも、重視率と評価率の差が20%を超えるものがほとんどであり、BS-i版が非常に目を惹く作品であったことが数字からも窺えます。 特に突出して重視率との差が目立っているのは、「話数・シリーズ構成」です。これは、普段はあまり重視されない要素であるにも拘らず、評価率は全要素中でもかなり高い位置を占めております。評価の差分がマイナスであったことから、この結果は「無念の度合い」を表すものとして読むことが出来ますね。BS-i版について如何に尺の足りなさを無念とした方が多かったか、という数字です。 一方、全要素中で唯一、重視率を評価率が下回ったのが「シナリオ・脚本」です。重視率がダントツに高いこの要素は、BS-i版に対する評価率が全要素の中で最も低い部類に入ってしまいました。この原因としては、(1)原作=ゲームのシナリオを可能な限りトレースした本作においては、シナリオはゲームの要素と受け取る人が多く、「このアニメを特徴づける点」としてシナリオを挙げる人が少なかった、という考え方が出来ます。別な見方として、(2)話数・シリーズ構成に無理がかかっている本作において、その影響を少なからず受けたシナリオについては多くの人が目をつぶった、という可能性もあります。他にも色々な仮説が考えられると思いますが、残念ながらこれらの仮説を検証する材料までは、本アンケートではご提供できませんのでご了承下さい。 |
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大変長くなりましたので、以上の考察をなるべく簡潔にまとめてみたいと思います。 ・BS-i版AIRにおいては、一般のアニメよりもほとんどの要素が大きく注目されており、非常に目を惹く作品であったことが窺える。 ・特に「作画」「動き」と言った表現技法に対しては、「悪い評価」がほとんど存在せず、圧倒的な良い評価を受けている。 ・反対に唯一悪い評価が良い評価を上回った「話数・シリーズ構成」や、作品自体に良い評価を寄せた人でも一部悪い要素に挙げている「シナリオ・脚本」「原作とオリジナルのバランス」などに象徴されるように、物語の構造的な部分に踏み込むと評価が低下する傾向が見て取れる。 ・作品全体としては圧倒的な良い評価を受けているBS-i版であるが、その裏側には短かった尺への無念があり、それに大きく影響を受けるシナリオに対しては視聴者があえて積極的に評価していない可能性もあることに留意が必要である。 さあ、いかがでしたでしょうか。前回よりは少々突っ込んだ内容に出来たかな、と思いつつ、加速度を増す年末進行に不安を募らせる日々です。そんな管理人を励ますためにも、下記ブログやWEB拍手のメッセージなどによりご意見を頂ければ幸いです。次回は静的分析の最終回としまして、「各話への評価から垣間見えるもの」を考察していきたいと考えております。年内に公開できるかどうか、非常に微妙な状況になってまいりましたが、どうぞ楽しみにお待ち下さいませ。 ブログの関連記事です。→BS-i版AIRアンケート・静的分析その2公開 |
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